介護アロマ 嚥下困難者のためのケア その2

ブラックペッパーは、スパイス系で香りの持続性はミドルノート。ON OFFバランススイッチは「ON」。動的で強壮作用があります。料理で使用されるスパイスの「黒コショウ」から採れる精油です。

黒コショウ入りの料理を想像していただきたいのですが、食事中~後に体が温かくなり汗をかきやすいかと思います。精油の作用もそのまんまで、体を温め慢性的に滞っている機能(例えば便秘【気の滞り】、むくみ【水の滞り】、くすみ【血の滞り】)を一気に促す作用が高いのが一番の特徴です。

数年前ですが、嚥下困難者【嚥下障がい高齢者】に対するブラックペッパーの香りが嚥下反射を誘発することが研究発表されました。個人差はあるものの、香りを嗅ぎ始めて2週間~1か月で変化がみられたようです。認知症で口の中に溜め込みを行う状態だった高齢者が、ブラックペッパー精油の香りを1か月間嗅いだ結果、9割を飲み込むようになった例も報告されています。

嗅神経は、成人の脳神経では珍しく再生が期待できる神経です。食事前の2~3分。芳香浴法でブラックペッパー精油を使用するのがベストですね。使い方はとても簡単です。ティッシュにブラックペッパー精油を1~2滴垂らしたものを、嚥下困難者に嗅いでいただきます。ポイントは深呼吸するように深く嗅ぐ。

グループホームなど大人数のスペース空間でしたら、ティッシュではなくディフューザー使用がおすすめですね。香りが広がるまで時間がかかりますので。食事15~30分前からディフューザーで香りを焚き、数分前ぐらいに食堂へとお集まりなられたらちょうどいいかもしれませんね。

介護アロマ 嚥下困難者のためのケア その1

食品化学新聞を読んでいると、興味深い記事があったのでご紹介します。

<以下、食品科学新聞より抜粋>
嚥下困難者のケア食は「お粥」よりも「せんべい」の方が良いことが多い。理由は、歯がしっかりとしていれば、よく噛んで口の中で食塊ができた方が、やわらか食よりも飲み込みやすいから。

現在、日本の要介護高齢者数は660万人に達した。死因の3位が肺炎。そのほとんどが誤嚥性の肺炎であることが確認されている。介護の現場では、誤嚥性肺炎の回避策として、ゼリー、ミキサー食、さらには胃ろうなどが実施。

日本の胃ろう処置を受けている人の数は50万人、英国の10倍以上となっている。一方、口腔衛生の徹底を促した8020運動などが功を奏し、高齢者の喪失歯は急激に減少。以下、高齢者の残存歯の数字です。

<65歳の歯数の平均>
●1957~1975年調査
男性13~15本
女性9~10本

●2017年度調査
男女ともに20本超え

約50年近くで、こんなにも違いがあることに驚きました。ちなみに、8020とは日本歯科医師会が推進している「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」をスローガンにした運動です。

一方で、脳疾患あるいはアルツハイマー等により嚥下機能に問題を抱える人は年々増加。つまり「飲み込めないけど噛める」人が多く存在する。

飲み込めないから。。。といって何でもやわらか食にするのではなく「噛める」ということを考えた食事が必要な時代になってきているなあと思いました。

個人的な考えですが、食事って「噛む→飲みこむ」という一連の流れがあります。そういう動作の反復は感覚や脳が自然と覚えていると思うんですね。嚥下障害があるから、、、と安易にミキサーやゼリー飲料を与えると、患者さん自身は飲み込みづらく感じるのでは!?と思いました。

60~70年近く続いた、長年の習慣が噛むではなく「飲む」ところからスタートとなると、その急な変化に脳や感覚も対応しにくいのでは?と感じるんです。結果、飲み込みづらい。あくまでも仮説ですが。

人間、噛める歯はあるのに飲めと言われると辛いもんですよ。ミキサーやゼリー食、胃ろうは、患者さん自身が決して満足するものではなく、周囲が満足しているだけかもしれませんね。

さてさて、アロマテラピーの業界でも嚥下障害高齢者に対する効果が検討された精油があります。それはブラックペッパー。お料理のスパイスに使用される「黒コショウ」が原料の精油です。次回、ブラックペッパーが嚥下障害高齢者にどう働きかけるかを記事でご紹介しますね。